何となく妹

 学校から帰ってきたら、玄関で機嫌よさそうな妹が携帯電話を持って、話しかけてきた。
妹「お兄ちゃん♪ わたし、携帯電話買ったんだ♪」
兄「そうか」
妹「うん、メールアドレスも作ったし、今日から電話とかメールとかどんどん使おうと思うんだ♪」
兄「ふーん」
妹「そ、そういえばさ〜、お兄ちゃんも携帯電話持っていたよね♪」
兄「ああ、それがどうかしたか?」
妹「……別に」
 
 自分の部屋にいると、妹が入ってくる。
妹「ねぇ、お兄ちゃん。わたし携帯電話買ったんだけど」
兄「さっき聞いたって」
妹「メールアドレスも作ったんだよ」
兄「それもさっき聞いた」
妹「……そう」
 バタン
兄「何だ?」
 
 夕食時に妹から話しかけられる。
妹「そういえばお兄ちゃん。わたし携帯電話買ったんだよ」
兄「いや、だからもう聞いたって」
妹「む〜、そうだったわねッ!」
兄「何で怒ってるんだ?」
妹「怒ってなんかいないよッ!」
 
 お風呂に入っていると、妹がドア越しに話しかけてくる。
妹「ねぇ、お兄ちゃん! わたし、携帯電話買ったんだって!」
兄「……」
妹「聞いてる! お兄ちゃん!」
兄「ああ、何度も同じ事、聞いてるって」
妹「う〜! 分かったわよッ!」
兄「何が言いたいんだ、アイツ」
 
 歯を磨いていると妹が怒った顔で話しかけてくる。
妹「お兄ちゃんってば、わたしは携帯電話買ったのッ!」
兄「いや……だからお前何なんだよ!」
妹「何でもないよっ!」
兄「……」
 
 次の日、玄関で機嫌の悪そうな妹と鉢合わせ。
妹「む〜」
兄「おいお前、一体、何に怒っているんだよ?」
妹「だから、怒ってなんかいないってッ!」
兄「……まぁいいか」
 
 妹と登校中
兄「そういえば、お前の携帯番号とメールアドレスを教えてくんねーか?」
妹「えっ!」
兄「(あっ、しまった。何も機嫌の悪い時にこんな事言わなくても良かったか)」
妹「そ、そうね」
兄「でも、別に後でもいいぞ」
妹「あ、後でって……別に今も後も変わんないでしょ」
兄「そうだな」
妹「ほら、言うからとっとと登録しなさいよっ」
兄「あ、ああ」
妹「そっ、それから、かわりにあんたのアドレスとかも教えなさいよ」
兄「ああ、わかった、今送る」
 
 番号やアドレス交換後、何故か機嫌が良くなった妹。
 携帯電話を眺めて笑顔を浮かべ、更には鼻歌まで歌いだして、登校する。
妹「♪〜♪〜〜♪〜〜〜〜♪〜〜♪〜〜〜♪〜〜」
兄「(……もしかして、これか? 俺と番号交換したかっただけなのか?)」