少女少年SS(つぐみルート)一部ダイジェスト

 スタジオで番組の撮影中。
 今度出る自分の写真集のPRを行う。
 
あおい「今度、あたしの写真集が出ます♪ 皆さん買ってくださいね〜♪」
 
 一旦撮影が終わる。
 一緒のスタジオにいるつぐみに声を掛けられる。
 
つぐみ「あおい、お疲れ様」
あおい「み…つぐみもお疲れ様」
つぐみ「しかし、あおいももう一冊目の写真集か」
あおい「う、うん……撮影とか結構大変だったけど」
つぐみ「結構、すごいじゃん」
あおい「そんな事無いよ。それにつぐみだってもう4冊目の写真集を出そうとしてるし、つぐみの方がすごいよ」
つぐみ「まあね、オレは、みずきみたいな歌唱力もないし、かずきほどの演技力も無いから、色気で売っているだけなんだけどな♪」
あおい「ちょっとつぐみ、男言葉に戻ってるよ」
つぐみ「あはは、べつにいーじゃん、誰も聞いてないんだし」
あおい「もう」
つぐみ「でも、あおいみたいに、歌や演技にも挑戦している上に写真集を出すのってすごいよ」
あおい「皆に比べるとすごくないと思うんだけどな〜」
つぐみ「あ、オレ、プロデューサーさんからと話があるんだった。それじゃ、あおい、あとでな」
 
 休憩に控え室へと向かう途中、廊下で3人組の男に声を掛けられる。
 言ってなんだが、とても美しさとは程遠い容姿をした3人組。
 
男A「あ、あおいちゃん!」
あおい「え?」
男B「ほ、本物だぁ」
あおい「ちょっ、ちょっと」
男C「ぼ、僕達きみの大ファンなんだ」
あおい「で、でも、ここは立ち入り禁止のはずじゃ……」
男A「こ、こんなに近くで見るの初めてだ〜」
あおい「(き、聞いていないし……)」
男B「ね、あおいちゃん、さわっていいかなぁ」
あおい「え、え〜と…」
男C「いいだろぅ、いいだろぅ」
あおい「は、はい」
 
 ついOKしてしまうおあい。
 その瞬間、手を鷲づかみされる。
 
男A「本当、あおいちゃん優しいなぁ(両手をつかまれ)」
あおい「え? え?」
男B「うわぁ、いい肌触り、やわらかいな〜(腕をさすられながら)」
あおい「ちょっ」
男C「あおいちゃんっていい匂い〜、立ち入り禁止の所を来た甲斐があったなぁ(後ろから肩をつかまれ)」
あおい「ひぃ」
 
男A「うへへ、遠めで見るより全然いいなぁ、ぺろっ(手を舐められる)」
あおい「わっわぁ!(悲鳴)」
男B「いい、いいよ、可愛いよ、あおいちゃん(体中を撫で回される)」
あおい「や、やめて」
男C「くんくん……いい匂いだぁ(髪の匂いをかぎながら)」
あおい「た、助けてっ」
 
 それを聞いて駆けつけたつぐみ。
 
つぐみ「そこっ! 何やってやがる!」
男A「えっ、あそこにいるのは」
男B「つぐみちゃんだ〜」
男C「えへへ〜、つぐみちゃんも一緒に〜」
あおい「つぐみ〜、助けて〜(涙目で)」
 
 その瞬間、つぐみの蹴りが飛ぶ。
 
つぐみ「てりゃー!」
男A「ぐはっ」
つぐみ「
男B「け、蹴らないでくれよ。僕達ファンなんだからさぁ」
つぐみ「立ち入り禁止の場所に入り込むようなのファンだと認められるかよ」
男C「ひ、ひどいな」
つぐみ「お前ら、ただですむと思うなー!」
 
 その騒ぎで沢山の人が出てきて、騒ぎは収集される。
 男三人組も連れて行かれる。
 その後、控え室で2人でいるあおいとつぐみ。
 
つぐみ「どうだ? 落ち着いたか? あおい」
あおい「う、うん……」
つぐみ「でも、これからの収録は無理だろ。今日は休んでいいぞ」
あおい「え……でも、仕事が……」
つぐみ「今やっても、ファンとかに笑顔を振りまいたりするのは無理だろ」
あおい「うん……今はちょっと怖い」
つぐみ「まぁ、しかたねーよ」
あおい「ごめん」
つぐみ「それから、気持ちは分かるけど、こういうことがあっても、すぐに切り替えないといけないのがプロだからな」
あおい「その……ミツルはこういうこと無いの?」
つぐみ「さっきのあおいみたいな事か? 似たよーな事ならしょっちゅうだぜ」
あおい「えっ!」
つぐみ「オレは、さっきみたいなやばいのはほとんど無いけど、ファンからセクハラ紛いの事をされるのはしょっちゅうだぜ」
あおい「え? あんなことされて大丈夫なの? ファンが怖くなったりしない?」
つぐみ「最初はキモイオタクを見るだけでうげーって来たけど、今じゃ平気だぜ」
あおい「すごいよ。どうやったらそんな風にできるの?」
つぐみ「難しく考えるなって。キモオタはお金だって思えばいいんだよ」
あおい「お、お金」
つぐみ「そう、お金♪ あおいもお金目当てで働いているんだろ♪」
あおい「そうだけど……」
 
 パープルガールズのメンバーが女装してアイドルをしているのは、各人それぞれ理由がある。
 つぐみとあおいの理由はズバリ『お金』である。
 とはいえ、あおいは生活費のためで、つぐみは買いたいモノほしさなのだが。
 
つぐみ「だったら、あおいもすぐにできるようになるよ♪」
あおい「そ……そうかな?」
つぐみ「そう、キモオタをお金だと思えば、いくらでも笑顔をふりまけるだろ」
あおい「う、う〜ん……(ここまで割り切って考えられるのは羨ましいなぁ)」
 
 収録が終わりスタジオを出ようとするあおいとつぐみ。
 そこにあおいの妹である空が迎えに来る。
 
あおい「あれ、何で空がここに?」
空「あおいちゃん! 無事?」
あおい「え、無事って、何で知ってるの?」
空「あたしはプロデューサーさんから聞いたんだけど、あおいちゃんが襲われそうになったって」
あおい「む、村崎さんってば、そんな事言わなくていいのに」
空「それにネット上でも、不法侵入したファンと、あおいちゃんとつぐみちゃんがいざこざを起こしたって噂も流れてたし」
あおい「…もうそんな噂まで」
つぐみ「さすがネットは噂が広まるのが早いな」
空「ネットの話は、ただの噂で終わるだろうけど、でも、本当なんだよね」
あおい「う、うん。それは本当だけど」
つぐみ「安心して、妹さん。不法侵入したファンに襲われそうになったのは本当だけど、あたしがそいつらを懲らしめといたから。お姉さんは無事だよ」
空「そう、よかった〜。ありがとう、つぐみちゃん」
 
すると、もう一人の男の子が後ろから声をかけてくる。
年は、あおいやつぐみと同じくらい。
かなり美形な男の子だ。
 
雪火「つぐみ。それでお前は大丈夫なのか?」
つぐみ「あ、セッカ。お前も迎えにきてくれたのか?」
雪火「ネットの噂なんてあてにならねーのは分かってるけど一応な……」
つぐみ「ああ、オレ……あ、あたしは全然平気だって」
雪火「そうか?」
つぐみ「そういえば、お前が迎えに来てくれるのって珍しいな。心配してくれたのか?」
雪火「そ、そんなんじゃねえよ」
つぐみ「ん?」
 
つぐみと男の子とのやり取りをじっと見ているあおいと空。
つぐみは気が付いたように紹介する。
 
つぐみ「あ、コイツは、オレ……あ、あたしの親友の大嵩雪火」
雪火「よろしく」
あおい「よ、よろしく…」
空「…おねがいします」
つぐみ「それはそうとセッカ。これから特に用事ないだろ? 一緒にかえろーぜ」
雪火「あ、ああ」
つぐみ「こないだ給料出たばっかりだし、何かおごるぜ。何がいい?」
あおい「(ミツルってば、さっきから男言葉でてるよ)」
 
そのまま、行ってしまうつぐみと雪火。
 
あおい「さて、ボクたちも帰ろうか。空」
空「うん。それから、あおいちゃん」
あおい「なに」
空「さっきの男の子って、つぐみちゃんの恋人かな?」
あおい「え、どうしてそう思うの?」
空「だって、今の男の子相当かっこよかったし、つぐみちゃんにぴったりだと思わない?」
あおい「そ、そうかなぁ……」
 
つぐみが男だと知っているあおいは、たじたじになる。
 
空「それにあの男の子と話をしている時のつぐみちゃん見た」
あおい「み、見たって? 何を」
空「あの時のつぐみちゃん。すっごく安心しきっていたよ」
あおい「そ、そう」
空「それに言葉遣いもいつもと違っていて砕けていたし」
あおい「ぎくっ」
空「多分普段はつぐみちゃん。あんな男っぽい口調で話しているんじゃないかな。好きな男の子にだけ見せられる自分の本当の姿って奴じゃない」
あおい「ぎくぎくっ」
空「付き合っていないにしても絶対両想いだって。あの二人」
あおい「あははは……そうかな」
空「そうだって絶対」
あおい「(うーん、つぐみも男なんだけどなぁ……)」