ヤブサメ町、映画館、休日、朝(回想)

バン!!ダン!!
映画から巨大な効果音が鳴り響く。
効果音と共にチカチカと光が降り注ぐ。
そんな中、雪火と允は隣通しでその映画を観ていた。

雪火がふと隣…允のほうを見る。
女のように可愛い素顔。
そこにロングのかつらと服が加わり、相変わらず美少女にしか見えない。
允は、場面が切り替わるたびに表情豊かに変えていく。

面白いコメディシーンでは、ニッコリと笑い。
アクションシーンでは、見ていて引き込まれるようなまでの、ワクワクした顔をして。
ちょっと悲しいシーンでは、涙まで見せて悲しい顔をしてた。

雪火は、ふと映画のスクリーンに視線を戻す。
……もはや、場面が進みすぎて何がなんだか分からなかった。
允の顔を見るのに夢中になりすぎたようだ。
恋愛シーンの真っ最中らしいが、話の流れが全く分からない。
雪火は、また允の顔を見た。

今は、恋愛シーンの真っ最中。
允は頬を赤く染め、少し照れたような顔を見せていた。
(やっぱこいつ見ていたほうが楽しいし…)

雪火の顔も允同様赤く染まった。